
「月次決算が翌月末にしか出ない」「経営会議に間に合わない」「早くしたいが、人と仕組みの両方が足りない」——中小企業のバックオフィスでよく聞く悩みです。
月次決算の早期化は、遅れている原因を把握し、仕組みと運用を一つずつ整えれば、中小企業でも十分に目指せます。本記事では、税理士事務所での実務を含め、これまで30社以上の中小企業を支援してきた合同会社種火が、月次決算が遅れる原因と、締めを早めるための具体的な手順、チェックリストを整理します。月次決算の全体像は月次決算とは、1つずつの作業の進め方は月次決算のやり方で解説しています。
月次決算の早期化で得られること
① 前月の数字をもとに、今月のうちに打ち手を決められる
② 資金の不足や売掛金の回収の遅れに早く気づける
③ 金融機関に直近の数字をすぐ示せ、融資の相談がしやすい
④ 年次決算の前に数字が整い、決算の作業が軽くなる
試算表が翌月末に出るのと、翌月の上旬に出るのとでは、同じ数字でも使える場面が大きく違います。
月次決算が遅れる5つの原因
早期化の第一歩は、自社でどこに時間がかかっているかを把握することです。改善のポイントを見誤らないよう、まず作業ごとの時間を書き出してみることが必要です。多くの会社で、原因は次の5つに集まります。
① 領収書や請求書が集まらない
領収書・請求書が月の途中に届かない、社内のあちこちに散らばっている、という状態です。書類がそろわないと、その先の作業がすべて止まります。
② 手入力が多く、データの取り込みに時間がかかる
通帳やカード明細を見ながら仕訳を入力していると、件数に比例して時間がかかります。月末にまとめて入力すると、さらに遅れます。
③ 締めの処理が担当者1人に頼っている
未払・前払・在庫などの締めの処理を、特定の担当者しか分からない状態です。その人が休むと月次決算が止まります。
④ 売上の確定が遅い
営業や現場からの売上の報告、納品の確認が遅れると、試算表を作れません。経理だけでは解決できない、現場との連携の問題です。
⑤ 確認と差し戻しが多い
勘定科目の判断が担当者によって違う、証憑に不備があるといった理由で、確認と差し戻しが何度も発生すると、締めが延びていきます。
月次決算を早期化する5つのステップ
ステップ1:システムでデータを自動で集める
クラウド会計(freee・マネーフォワード クラウド・弥生会計 Next など)で銀行口座とカードを連携し、明細のデータを自動で取り込みます。手入力が大きく減り、月末の作業が平準化されます。経費精算のシステムも合わせて使うと、領収書のデータも一か所に集まります。詳しくは経理ソフト比較をご覧ください。
ステップ2:証憑の集め方をルールにする
- 請求書は受け取ったらすぐ、共有フォルダなど決まった場所に入れる
- 領収書はスマホで撮影して、経費精算のシステムから申請する(領収書のペーパーレス化)
- 提出の締め日を決め、月末に集中させない
ステップ3:担当者の役割を分け、1人に頼らない
締めの処理の手順を書き出し、複数の人が対応できるようにします。経理の担当者が1人しかいない場合は、経理代行を組み合わせてチームで回す方法もあります。
ステップ4:締めの処理を前倒しする
- 未払の経費は、月末にまとめず週ごとに計上する
- 前払の費用は、契約したときに毎月の配分を設定しておく
- 在庫は、月末の決まった日に数える運用にする
ステップ5:経営会議の日を先に決める
「毎月○日に経営会議」と先に決め、そこから逆算して締めの日程を組みます。期限が決まることで、社内全体が動きやすくなります。
早期化で最も効くのは「経営会議日を先に固定する」ことです。人は締切があって初めて動きます。翌月10日に経営会議を設定すれば、それまでに数字を出すプレッシャーが全社にかかり、自然と早期化が進みます。
月次決算の締めを早めるチェックリスト
毎月の締めの前後で、次の項目を確認します。試算表を早く、正しく作成するための最低限のチェックです。
- 銀行・カードの明細がすべて取り込まれているか
- 通帳の月末残高と帳簿の預金残高が一致しているか
- 今月分の請求書・領収書がそろっているか(未提出の部署はないか)
- 売上が確定し、請求書の発行が済んでいるか
- 未払・前払・在庫の締めの処理が済んでいるか
- 仮払金・仮受金など、内容の分からない残高が残っていないか
- 前月から大きく動いた科目の理由を確認したか
- 試算表を出力し、経営会議の資料に反映したか
早期化にかかる期間の目安
早期化は一度に進めるより、段階を踏む方が定着します。次は、よくある進め方の目安です(会社の状況によって変わります)。
| 今の状態 | 次の目標 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 翌月末に試算表 | 翌月15日ごろ | 1〜2か月 |
| 翌月15日ごろ | 翌月10日ごろ | 2〜3か月 |
| 翌月10日ごろ | 翌月の上旬 | 3〜6か月 |
種火の経理代行では、記帳だけなら最短5営業日、月次の試算表とレポートまでは翌月15日ごろを目安にお渡ししています。
早期化で失敗しやすい3つのパターン
精度を落とすのが怖くて進まない
完璧を目指すといつまでも進みません。月次決算では、80点でも早く出して、毎月確認することを優先します。
経理担当者1人に負担が集中する
早期化が経理担当者の残業で成り立っているなら、長くは続きません。仕組みと体制で早くすることが大切です。
現場との連携が取れていない
営業の売上報告や倉庫の在庫の数え方が遅れると、経理だけでは締められません。締めの日程を全社で共有しましょう。
月次決算を早期化する進め方の例
受発注をkintoneなどで電子化し、クラウド会計を導入、記帳を経理代行に任せる。この組み合わせで締めを翌月末から翌月上旬へ前倒しし、社長が数字を見て判断する時間を取りやすくします。
数字の読み方や資金繰りまで毎月一緒に見てほしい場合は、種火の社外CFOサービス、記帳と月次決算をまとめて任せたい場合は記帳代行・経理代行サービスで伴走しています。
月次決算の早期化のよくある質問
Q. 中小企業でも翌月の上旬に月次決算を締められますか?
A. データの取り込みの仕組みと担当者の体制が整えば、十分に目指せます。まずは毎月決まった日に数字を出すことから始め、その日を少しずつ前に倒していきましょう。
Q. 早期化の費用はどのくらいかかりますか?
A. 経理代行とクラウド会計を組み合わせる場合、業務の量に応じて月数万円からが目安です(種火の経理代行は月6万円〜)。
Q. 月次決算を早くすると年次決算も楽になりますか?
A. なります。毎月の数字が整っていれば、年次決算で確認し直す作業が減り、顧問税理士とのやり取りも早く進みます。
Q. 経理担当者は不要になりますか?
A. 不要にはなりません。入力の作業が減る分、数字の確認や分析、資金繰りの管理に役割が移ります。
まとめ:早期化は原因の把握から
月次決算の早期化は、遅れている原因を把握し、システムでデータを集める仕組み、担当者の役割分担、締めの処理の前倒し、経営会議の日の固定を組み合わせて進めます。チェックリストを毎月使い、少しずつ締めの日を前に倒していきましょう。
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