「月次決算は形だけ作っているが、経営判断には使えていない」「翌月末にようやく試算表が出る」「月次決算の意味が社内に伝わっていない」——中小企業のバックオフィスでよく聞く悩みです。

月次決算は、単なる数字の記録ではなく、毎月の経営判断を支える重要な業務です。本記事では、税理士事務所での実務を含め、これまで30社以上の中小企業を支援してきた合同会社種火が、月次決算の目的と年次決算との違い、全体の流れ、毎月確認するポイント、経営判断での使い方までを整理します。具体的な作業手順は月次決算のやり方、締めを早める工夫は月次決算の早期化で詳しく解説しています。

月次決算とは?目的と年次決算との違い

月次決算とは、毎月末の時点で損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)をまとめ、その月の業績と財産の状況を把握する作業です。年に一度の決算を待たずに、毎月の数字で経営の状況を確かめるために行います。

月次決算の3つの目的

  • 経営判断を早くする:先月の数字が早く出れば、今月の打ち手を変えられる
  • 業績の悪化に早く気づく:年に一度の決算で気づいても、手を打つには遅い
  • 金融機関との信頼をつくる:毎月の数字を示せる会社は、融資の相談もしやすい

年次決算との違い

月次決算 年次決算
目的 社内の経営判断 税務申告・株主や金融機関への報告
法律上の義務 なし あり(法人税の申告など)
精度 早さを優先し、概算を含めてよい 正確さが求められる
主な担当 社内の経理担当者・経理代行 顧問税理士と連携して確定

月次決算に法律上の義務はありませんが、毎月の数字を整えておくと、年次決算の作業の負担も軽くなります。中小企業の会計の考え方は、中小企業庁の中小会計要領も参考になります。

月次決算を行う4つのメリット

  1. 経営判断のスピードが上がる:四半期や年単位ではなく、毎月打ち手を見直せる
  2. 資金繰りの不安に早く気づける:売掛金の回収の遅れや、手元資金の減り方が見える
  3. 金融機関への説明がしやすい:融資の相談で、直近の数字をすぐに示せる
  4. 社員の数字への意識が高まる:部門ごとの損益を共有すると、コストを意識しやすくなる

資金繰りの管理と組み合わせる方法は資金繰りとはで解説しています。

月次決算の全体の流れと担当者

月次決算の7ステップフロー図

月次決算は、毎月おおむね次の流れで進みます。誰が何をするかを決めておくことが、毎月決まった時期に数字を出す一番の近道です。

順番 作業 主な担当 時期の目安
1 締め日を決める(毎月末に統一) 経営者・経理担当者 最初に一度
2 請求書・領収書・通帳やカードの明細を集める 各部署・経理担当者 翌月1〜2営業日
3 仕訳を入力し、帳簿をつける 経理担当者・経理代行 翌月2〜4営業日
4 未払・前払・在庫などの締めの処理 経理担当者・経理代行 翌月3〜5営業日
5 試算表を作成し、残高をチェックする 経理担当者・経理代行 翌月4〜10営業日
6 経営会議で数字を確認する 経営者・幹部 毎月決まった日
7 打ち手を決めて実行する 経営者 会議の後すぐ

1つずつの作業の進め方と必要書類のチェックリストは、月次決算のやり方にまとめています。

月次決算で確認する数字とポイント

試算表ができたら、次の点を毎月チェックします。ここを押さえるだけで、数字の誤りと経営の変化の両方に気づきやすくなります。

預金残高と帳簿の残高が一致しているか

通帳(ネットバンキング)の月末残高と、帳簿の預金残高が合っているかを確認します。合わない場合は、入力漏れや二重計上がある可能性があります。現金がある会社は、現金の残高も同じように確かめます。

売掛金・買掛金の残高が実態と合っているか

入金されていない売掛金が残っていないか、支払っていない買掛金がないかを、取引先ごとに確認します。回収の遅れは、資金繰りの悪化の最初のサインです。

前月・前年同月から大きく動いた科目はないか

売上や経費を前月・前年同月と比べ、大きく動いた科目の理由を確認します。種火の経理代行では、前月から15%以上動いた項目について、なぜ動いたのかを分けてご説明しています。季節による変動なのか、入力の誤りなのか、経営の変化なのかを見分けることが大切です。

利益と手元資金の動きがずれていないか

利益が出ていても、手元資金が減っていることがあります。借入の返済や在庫の増加、売掛金の回収の遅れが原因です。試算表とあわせて資金繰り表も更新しておくと、数か月先の資金の過不足まで見えるようになります。

月次決算の数字を経営判断に使う方法

月次決算は、数字を作って終わりではなく、経営者が使って初めて意味を持ちます。次の3つを運用のルールにしましょう。

  • 毎月決まった日に経営会議で数字を見る:試算表が出たら、日をあけずに確認する
  • 見る資料を絞る:損益計算書、貸借対照表、資金繰り表の3つと、前月・予算との比較
  • 数字から打ち手を1つ決める:「広告費を見直す」「回収の遅い取引先に連絡する」など、次の行動まで決める

部門別の損益や指標で経営を管理する方法は、管理会計の基本で解説しています。

月次決算にかかる日数の目安

月次決算にかかる日数は、会社の規模や記帳の状況によって変わります。一般的には、翌月の早い時期(営業日で5〜10日前後)に数字が見られると、その月の経営判断に使いやすくなります。

種火の経理代行の場合、記帳だけなら最短5営業日、月次の試算表とレポートまでは翌月15日ごろを目安にお渡ししています。締めを早めるための工夫は、月次決算の早期化で詳しく紹介しています。

代表 早見 文博より
月次決算で大切なのは、数字が早く、毎月決まった日に出ることです。月末から1か月以上たってから数字が出ても、経営判断には間に合いません。中小企業では、完璧な100点を待つより、80点でも早く出して毎月見る習慣をつくる方が役に立ちます。

月次決算でよくある3つの失敗

数字が出ても経営会議で使われない

試算表が出ても、経営会議で見なければ意味がありません。前月の損益計算書と貸借対照表を必ず会議に出す、というルールを決めておきましょう。

精度を追いすぎて時間がかかる

完璧を目指して、翌々月にようやく数字が出る会社もあります。月次決算では、細かい誤差より、早く出して毎月確認することを優先します。

担当者1人に頼りきっている

経理担当者が1人だけだと、業務の負担が集中し、休みや退職で月次決算が止まります。手順を書き出して共有するか、経理代行を組み合わせて、複数の人で回せる体制にしておくと安心です。

月次決算を社内で回すか外注するか

体制 向いている会社 注意点
社内の経理担当者 経理の経験者がいて、仕訳の量が多くない 担当者に頼りきりになりやすい
顧問税理士 記帳まで税理士に任せている 月次の締めの時期や報告の内容は事務所によって違う
経理代行 経理の担当者がいない、毎月の数字を早く見たい 書類の提出など社内に残る作業を決めておく

種火の経理代行プラン(月6万円〜)には月次決算とレポートの作成が含まれ、数字の読み方や資金繰りまで相談したい場合は社外CFOサービスも組み合わせられます。詳しくは記帳代行・経理代行サービスをご覧ください。

月次決算のよくある質問

Q. 月次決算は法律で義務づけられていますか?

A. 義務はありません。ただし、金融機関からの融資の相談や、経営の状況を確かめるうえで、毎月の数字があると大きな助けになります。

Q. 翌月の何日までに数字を出すべきですか?

A. 決まりはありませんが、翌月の早い時期に出るほど経営判断に使いやすくなります。まずは毎月決まった日に出すことを目標にし、その日を少しずつ前に倒していきましょう。

Q. 月次決算は自社でやるべきですか、外注すべきですか?

A. 経理の経験者がいて仕訳の量が多くないなら社内で、担当者がいない・毎月の数字を早く見たい場合は経理代行の活用が向いています。組み合わせる方法もあります。

Q. 月次決算と試算表は何が違いますか?

A. 試算表は、帳簿の数字を集計した表です。月次決算は、締めの処理をして試算表を作り、その数字を確認して経営判断に使うまでの一連の作業を指します。

まとめ:月次決算は毎月の経営判断の土台

月次決算は、毎月の数字で経営の状況を把握し、次の打ち手を決めるための仕組みです。締め日と担当者を決め、預金残高や売掛金のチェック、前月との比較を毎月続けることで、数字が経営判断に使えるものになります。

関連記事:月次決算のやり方/月次決算の早期化/管理会計の基本/社外CFOとは/経理代行サービス完全ガイド

月次決算の無料相談はこちら

30分の無料相談を予約する