
「月次決算の具体的な手順が分からない」「新しい経理担当者に教えられる資料がない」「自社の月次決算の流れを見える形にしたい」——中小企業のバックオフィスでよく聞く悩みです。
本記事では、税理士事務所での実務を含め、これまで30社以上の中小企業を支援してきた合同会社種火が、月次決算のやり方を8つのステップと、ステップごとに確認する項目で整理します。年次決算を見据えたポイントや、よくある誤りもまとめました。月次決算の目的や全体像は月次決算とは、締めを早める方法は月次決算の早期化をご覧ください。
月次決算のやり方|全体の流れ

月次決算は、次の8つのステップで進めます。時期は、翌月の営業日で数えたおおよその目安です。
| ステップ | やること | 確認する項目 | 時期の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 証憑を回収する | 未提出の部署・書類がないか | 1〜2営業日 |
| 2 | 銀行・カードの残高を確認する | 通帳と帳簿の残高が一致しているか | 2営業日 |
| 3 | 仕訳を入力する | 仮払金・仮受金など内容不明の残高がないか | 2〜3営業日 |
| 4 | 未払・前払を計上する | 毎月発生する費用の計上漏れがないか | 3〜4営業日 |
| 5 | 在庫・固定資産を処理する | 減価償却費を月割りで計上したか | 4〜5営業日 |
| 6 | 売上高と売掛金を確定する | 売上の計上基準がそろっているか | 4〜5営業日 |
| 7 | 試算表を作成して確認する | 前月・前年同月から大きく動いた科目はないか | 5営業日〜 |
| 8 | 経営会議の資料をつくる | 予算との差と、その理由をまとめたか | 6〜10営業日 |
月次決算の8つのステップと確認項目
ステップ1:証憑を回収する
その月の取引の根拠となる書類を集めます。
- 銀行の明細(通帳または電子データ)
- 請求書(発行した分・受け取った分)
- 領収書・レシート
- カードの利用明細
- 給与の支払明細
確認する項目:提出していない部署や人がいないか。提出の締め日を毎月決めておくと、回収が早くなります。
ステップ2:銀行・カードの残高を確認する
会計ソフトの預金残高と、通帳やネットバンキングの実際の残高を比べます。差があれば、この時点で原因を調べます。
確認する項目:入力漏れ・二重計上・日付のずれがないか。カードの利用明細の締め日と、引き落とし日の違いにも注意します。
ステップ3:仕訳を入力する
- 日々の取引の仕訳を入力する
- クラウド会計の自動仕訳の内容を確認して承認する
- 現金での取引を計上する
確認する項目:仮払金・仮受金など、内容の分からない仮の勘定に残高が残っていないか。月末までに正しい科目に振り替えるのが基本です。
ステップ4:未払・前払を計上する
- 未払費用(その月の費用で、翌月に支払うもの)
- 前払費用(翌月以降の費用を先に払ったもの)
- 未払の給与・社会保険料
確認する項目:家賃や保険料、リース料など毎月発生する費用が漏れなく計上されているか。
ステップ5:在庫・固定資産を処理する
- 在庫(棚卸資産)の月末の残高を反映する
- 減価償却費を月割りで計上する
- 使わなくなった固定資産を処理する
確認する項目:減価償却費を毎月計上しているか。年次決算で一度に計上すると、月ごとの利益が実態とずれます。
ステップ6:売上高と売掛金を確定する
- 売上の計上基準(出荷・納品・検収・サービス完了など)に沿って売上高を確定する
- 売掛金の残高を取引先ごとに確認する
確認する項目:月によって計上基準が変わっていないか。入金の遅れている取引先がないか。
ステップ7:試算表を作成して確認する
- 合計残高試算表を出力する
- 損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)を確認する
- 前月・前年同月と比べる
確認する項目:大きく動いた科目があれば、その理由を説明できるか。種火の経理代行では、前月から15%以上動いた項目の理由を分けてご説明しています。
ステップ8:経営会議の資料をつくる
- 予算と実績の対比表
- 重要な指標(売上高・粗利率・手元資金など)の推移
- 気になる点と、次の打ち手の候補をまとめたメモ
確認する項目:数字の説明だけで終わらず、次の行動につながる論点が書かれているか。
月次決算の必要書類チェックリスト
- □ 銀行の明細(普通・当座・定期)
- □ カードの利用明細(法人カード・代表者カード)
- □ 請求書(発行・受領)
- □ 領収書・レシート
- □ 給与の支払明細
- □ 社会保険料の納付書
- □ 借入金の返済予定表
- □ リース契約書(月額の計上用)
- □ 在庫の棚卸表
- □ 前月の試算表(比較用)
試算表で確認する5つの項目
① 現預金の残高が通帳と一致しているか
② 売掛金・買掛金の残高が実態に合っているか
③ 未払・前払が漏れなく計上されているか
④ 前月・前年同月と比べて大きく動いた科目はないか
⑤ 経費の勘定科目の振り分けが毎月そろっているか
月次決算の”やり方”を覚えるより、「毎月同じ順序・同じ締め日で回す」方がずっと重要です。型ができれば品質が自然に上がります。最初は80点でも構いません。続けるほど精度は上がっていきます。
年次決算を見据えた月次決算のポイント
月次決算を丁寧に続けておくと、年次決算の作業が軽くなり、顧問税理士とのやり取りも早く進みます。次の点を毎月の作業に組み込んでおきましょう。
- 減価償却費を毎月計上し、年次決算で一度に計上しない
- 賞与や法人税・消費税の納付の見込みを、毎月の資金繰りに入れておく
- 決算月の2〜3か月前に、売掛金・在庫・仮勘定の残高を整理しておく
- 事業の年間の予算と実績を毎月比べ、決算の着地を早めに把握する
月次決算を効率化する3つの方法
① クラウド会計で自動仕訳を使う
銀行・カードの明細を自動で取り込めば、手入力を大きく減らせます。詳しくは経理ソフト比較をご覧ください。
② 経理代行と分担して運用する
経理代行と作業を分担すると、担当者1人に頼る状態を解消でき、締めも安定します。
③ 手順をテンプレート・マニュアルにする
自社の月次決算の手順と確認項目を文書にしておくと、新しい担当者も同じ品質で対応できます。この記事の8つのステップと確認項目を、そのまま自社用のひな形にしても構いません。
月次決算でよくある3つの誤り
現金出納帳と手元の現金を突き合わせない
帳簿上の現金残高と、実際の手元の現金が合わないまま、差額が積み上がっていきます。毎月の締めで必ず数えて合わせましょう。
売上の計上基準があいまい
出荷した時点・検収された時点・サービスが終わった時点が混在すると、前月との比較ができなくなります。
経費の勘定科目が担当者によって変わる
同じ経費の科目が月によって違うと、予算と実績の管理が機能しません。よく使う取引は、科目のルールを決めておきます。
月次決算のやり方のよくある質問
Q. 月次決算のやり方は独学で身につけられますか?
A. 簿記の基礎知識があれば、手順は身につけられます。自社に合った運用の形をつくるまでは、経験のある人と一緒に進めると早く安定します。
Q. 月次決算を外部に任せると、費用はどのくらいですか?
A. 業務の量によって大きく変わります。種火の経理代行プランは月6万円〜で、月次決算とレポートの作成が含まれます。詳しくは記帳代行・経理代行サービスをご覧ください。
Q. 月次決算はいつから始めるのがよいですか?
A. 期首から始めると区切りがよく、前年との比較もしやすくなります。ただし年度の途中からでも始められます。
Q. 試算表から何を読み取ればよいですか?
A. まずは売上高・粗利・経費の前月との変化と、手元資金の推移を見ます。より深い分析や資金繰りの判断まで相談したい場合は、社外CFOの伴走も検討してください。
まとめ:月次決算は”型”を作ることから
月次決算は、8つのステップと確認項目を型にして、毎月同じ流れで回すことで品質が安定します。まずは基本の手順で仕組みをつくり、年次決算を見据えた整理や、締めの早期化へと広げていきましょう。
関連記事:月次決算とは/月次決算の早期化/管理会計の基本/経理代行サービス完全ガイド/経理ソフト比較
月次決算のやり方相談はこちら
