
事業計画書の3つの用途
事業計画書の7つの構成要素

1. エグゼクティブサマリー(1ページ)
全体の要約。読み手が最初に目にする「勝負所」。2. 会社概要
- 会社名・設立年・代表者
- 事業内容・ミッション
- 沿革・実績
3. 市場分析
- 市場規模・成長性
- 競合分析(3〜5社)
- 自社の差別化ポイント
4. 事業戦略・商品/サービス
- 提供価値(顧客のどの課題を解決するか)
- 商品/サービスラインナップ
- 販売チャネル・マーケティング
5. 組織・人員計画
- 組織図・役割分担
- 採用計画
- 教育・評価制度
6. 財務計画(最重要)
- 売上計画(3〜5年)
- 費用計画
- 利益計画(PL)
- 資金計画(資金計画の作り方参照)
- 投資計画
7. リスク分析と対策
- 想定リスク3〜5個
- 各リスクへの対応策
融資審査で通る事業計画書のポイント
金融機関が見る5点
- 売上見込みの根拠:「伸びる」ではなく「なぜ伸びるか」
- 返済能力:営業CFで返済できるか
- 担保・保証:不足時の回収策
- 経営者の資質:過去の実績
- 業界の成長性:斜陽産業は厳しい
通りやすい書き方のコツ
- 数字は保守的に(楽観予想+保守予想の2本)
- 競合分析は具体名を出す
- リスクと対策を包み隠さず記載
- 役員の略歴・保有資格を明記
事業計画書作成の5ステップ
ステップ1:目的の明確化(1日)
融資用?社内共有用?投資家用?で書き方が全く変わる。ステップ2:情報収集(1〜2週間)
- 自社の過去実績
- 市場調査(業界レポート・統計)
- 競合調査
ステップ3:財務計画作成(2週間)
売上→費用→利益→資金 の順で組み立て。資金計画は特に重要。ステップ4:文書化(1週間)
Word/Google Docsで本文、PowerPoint/Googleスライドで要約資料。ステップ5:レビュー・ブラッシュアップ(1週間)
第三者(税理士・社外CFO)にレビュー依頼。自分で作るか、外部に依頼するか
事業計画書は自社で作るのが基本ですが、時間が取れない、書き方が分からないという理由で外部に依頼する会社もあります。判断の材料を整理します。
| 自社で作成 | 外部に依頼 | |
|---|---|---|
| 費用 | 0円(社内工数のみ) | 5〜30万円程度 |
| 期間 | 2週間〜1か月 | 2〜4週間 |
| 内容の精度 | 事業の実態は正確。数字の組み立てに難がある場合も | 数字の整合性は高い。事業の細部は伝え方次第 |
| 審査での説明 | 自分の言葉で答えられる | 中身を理解していないと答えられない |
| 次年度以降 | 自社で更新できる | 都度依頼が必要になりやすい |
依頼する場合に最も注意すべきは面談で説明できるかです。融資審査では計画書を出して終わりではなく、担当者から質問を受けます。「この売上予測の根拠は」と聞かれて答えられないと、計画書の完成度が高くても評価は下がります。
外部に依頼する場合も、数字の根拠は自分で説明できる状態にしてから提出してください。作成を任せることと、内容を理解しないことは別です。
作成ツールや生成AIは使えるか
事業計画書の作成ツールや、生成AIを使った作成支援が増えています。使いどころを分けて考えてください。
向いている使い方。 構成の骨組みを作る、抜けている観点を洗い出す、文章を整える、といった作業には有効です。白紙から始めるより早く形になります。市場規模の調べ方や、競合の整理軸を出してもらうのにも使えます。
向いていない使い方。 数字の作成です。生成AIは自社の実績を知らないため、もっともらしい数値を出しますが根拠がありません。融資審査で根拠を問われたときに答えられない計画書ができあがります。
また、業界の慣行や地域の事情は反映されません。仕入の支払サイトや、繁忙期の資金需要といった実務の要素は、自社で埋める必要があります。
ツールを使う場合は、構成と文章はツール、数字と根拠は自社という分担にしてください。生成AIの業務活用については法人向けAI研修の選び方でも触れています。
事業計画書の作成代行を頼む場合の相場と選び方
事業計画書の作成代行を請け負っているのは、中小企業診断士、税理士、認定経営革新等支援機関、コンサルティング会社などです。用途によって適した依頼先が変わります。
| 用途 | 適した依頼先 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 創業融資の申込 | 創業融資の支援実績がある事務所 | 5〜15万円 |
| 銀行融資(既存事業) | 顧問税理士、認定支援機関 | 10〜20万円 |
| 補助金の申請 | 認定経営革新等支援機関 | 10〜30万円+成功報酬 |
| 社内の経営計画 | 経営コンサルタント、社外CFO | 月額契約に含むことが多い |
依頼先を選ぶときはその用途での実績を必ず確認してください。補助金の採択実績が豊富でも、銀行融資の審査で見られる点とは異なります。
また、官公署へ提出する書類の作成代行は行政書士の業務にあたる場合があります。補助金申請に関わる書類を扱う際は、誰がどの書類を作成し、誰が提出するのかを契約前に確認してください。種火では、有資格者の業務にあたる部分は提携先へお取次ぎします。契約は顧客と有資格者が直接結ぶ形です。
生成AIで事業計画書を作る場合の注意
生成AIに事業計画書を作らせること自体は可能ですが、そのまま提出できるものにはなりません。次の3点が欠けるためです。
自社の実績数値。 前期の売上、原価率、人件費といった実数はAIが知りません。入力しなければ架空の数字が入ります。
業界固有の事情。 支払サイト、季節変動、業界特有の商習慣は反映されません。製造業と飲食業では資金繰りの形がまったく違います。
金融機関との関係。 既存の借入状況、担当者とのやり取り、過去の説明との整合。これらは計画書の書き方に影響します。
使うのであれば、構成案の作成と文章の推敲に限るのが現実的です。数字と根拠は自社で埋めてください。
銀行融資で使う場合に押さえる点
事業計画書の用途で最も多いのが融資申込です。金融機関が見る観点は限られています。
| 見られる点 | 確認される内容 |
|---|---|
| 返済できるか | 営業利益+減価償却費が、年間返済額を上回るか |
| 数字の根拠 | 売上予測が単価×数量で説明できるか |
| 過去との連続性 | 前期実績から急激に飛躍していないか |
| 資金使途 | 借入金を何に使い、それがどう売上につながるか |
| 悲観シナリオ | 計画を下回った場合にどう対応するか |
最も多い指摘は売上予測の根拠です。「前年比120%」という書き方では通りません。「既存顧客50社の平均単価が月8万円、新規を月2社獲得」のように、単価と数量に分解してください。
もう一つは悲観シナリオの記載です。計画どおりにいかない前提を書いておくと、かえって信頼されます。売上が計画の8割だった場合の資金繰りと、そのときに取る手段を1段落書き添えてください。
融資全体の進め方は銀行融資を受けやすくする方法、資金面の組み立ては事業計画における資金計画の作り方を併せてご覧ください。
事業計画書で「失敗する」3パターン
パターン1:テンプレート埋め作業で終わる
雛形を埋めただけ=読み手に響かない。自社の言葉で書くことが必須。パターン2:財務計画が現実離れ
“売上3倍”など根拠のない数字は見抜かれる。過去実績の延長線上で作る。パターン3:作って終わりで使われない
作成自体が目的化し、社内共有されない。四半期ごとに進捗確認の運用を。補助金・助成金申請時の事業計画書
補助金(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、小規模事業者持続化補助金など)では、それぞれ独自の様式があります。ものづくり補助金と新事業進出補助金は、令和8年度から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として公募されています(中小企業庁の補助金公募情報)。 – 加点ポイントを意識:賃上げ・DX・事業承継 – 審査基準を読み込む:公募要領を熟読 – 社外CFOや認定支援機関に伴走してもらうと、準備の抜けを減らせる種火の事業計画書作成支援
融資の準備から借りた後の資金繰りまで一緒に見てほしい場合は、種火の社外CFOサービスで伴走しています。
