「どの銀行なら借りやすいか」を探している方は多いのですが、同じ会社が申し込めば、どこに出しても結果は似たものになります。

金融機関ごとに多少の傾向はあります。ただし審査で見る指標は共通しており、決定的なのは申し込む側の状態です。借りやすい銀行を探すより、自社を借りやすい状態にするほうが確実です。

この記事では、審査で実際に何を見られているのかを示したうえで、どこから手をつければ通りやすくなるのかを順番に整理します。

審査で見られる6つの指標

まず、判断材料を知っておく必要があります。ここが分かれば、何を直すべきかも決まります。

1. 債務償還年数

もっとも重視される指標です。今ある借入を、今の利益で何年かけて返せるかを示します。

債務償還年数 = 有利子負債 ÷(税引後利益 + 減価償却費)

借入3,000万円、税引後利益300万円、減価償却費200万円なら、3,000 ÷ 500 = 6年です。

年数 評価
10年以内 健全
10〜15年 慎重に見られる
15年超 新規融資は困難

この数字が悪い状態で申し込んでも、書類をどれだけ整えても結果は変わりません。まず改善すべきはここです。

2. 自己資本比率

総資産に対する純資産の割合です。中小企業では20%以上あれば安定、10%を下回ると警戒されるのが一般的な水準感です。

債務超過(純資産がマイナス)の状態では、原則として新規融資は受けられません。

3. 営業利益

本業で稼げているかを見られます。

営業利益が赤字で、雑収入や補助金によって経常利益が黒字になっている場合、実質は赤字と判断されます。ここを取り繕っても見抜かれます。金融機関は本業の稼ぐ力が返済原資になると考えているためです。

4. 現預金の月商比率

手元の現預金が月商の何か月分あるか。1.5か月分を下回ると、資金繰りに余裕がないと見られます。資金繰りの考え方の全体像は、資金繰りの基本と管理方法にまとめています。

月商500万円なら750万円が目安です。この水準を割っていると、想定外の支出が1件起きただけで支払いが回らなくなるため、金融機関は警戒します。

5. 代表者個人の信用情報

中小企業の融資では、法人と代表者は一体として見られます。個人のクレジットカードやローン、携帯電話端末の分割払いの延滞歴も、法人の審査に影響します。

6. 税金・社会保険料の納付状況

もっとも基本的な確認事項です。滞納があると、その時点で審査は止まります。 分割納付の合意がある場合でも、一定期間の履行実績が求められます。

借りやすくする改善の順番

指標が分かったところで、何から手をつけるかです。効果が出るまでの期間が短い順に並べます。

すぐできること(今週)

税金・社会保険料の滞納を解消する

これが残っている限り、他を整えても意味がありません。全額が難しければ、税務署に相談して分割納付の合意を取り、履行実績を作り始めてください。

試算表を最新にする

直近の試算表がない状態では、申し込みの土俵に乗りません。記帳が遅れているなら、まずそこを追いつかせます。

資金繰り表を作る

6か月先まで入出金を並べます。項目は「前月繰越・入金・出金・当月末残高」の4つで足ります。

多くの中小企業でこれが作られていません。あるだけで説明の説得力がまったく違います。

1〜3か月でできること

資金使途を具体化する

「運転資金として1,000万円」では通りません。何にいくら必要かを積み上げてください。

とくに評価されやすいのは売上増加にともなう前向きな資金需要です。「受注が◯%増える見込みで、それにともなう仕入増が◯万円」と説明できれば、同じ金額でも受け止め方が変わります。

売掛金の回収を早める

期日を過ぎた売掛金を回収し、入金サイトの短縮を主要取引先に相談します。現預金が増えれば、月商比率が改善します。

在庫を圧縮する

滞留在庫を処分すると、資産が現金に変わります。決算書上は損失が出ますが、現預金が増え、資金効率も改善します。

不要な固定費を削る

使っていないソフトウェアの契約、更新され続けている保険。年に一度、口座とカードの明細を1年分並べて確認してください。

半年〜1年かかること

利益を出す

債務償還年数も自己資本比率も、分母か分子に利益が関わります。結局のところ、利益を出すことが最大の改善策です。

粗利率の見直し、不採算取引の整理、価格の改定。時間はかかりますが、これ以外に根本的な改善はありません。

既存借入を減らす

返済を進めれば債務償還年数は下がります。ただし手元資金を減らしてまで繰上返済するのは逆効果です。現預金の月商比率が落ちるためです。

決算内容を意識する

節税のために利益を圧縮すると、返済能力が低いと判断されます。今後2〜3年で融資を受ける予定があるなら、過度な節税は不利に働きます。

税金を払うか、融資を受けやすくするか。どちらを優先するかは、資金調達の予定で決めてください。

金融機関の種類と特徴

順位はつけません。同じ会社なら結果は似たものになるためです。ただし得意な領域は違うので、状況に応じて選ぶ意味はあります。

日本政策金融公庫

政府系金融機関です。実績のない創業者でも申し込めること、無担保・無保証の制度があることが特徴です。

創業期や、民間との取引が浅い時期に使いやすい調達先です。民間金融機関と競合しないため、併用しやすい相手でもあります。

公庫の創業融資の条件と申し込みの流れは、日本政策金融公庫の創業融資とはで解説しています。

信用金庫・信用組合

地域の中小企業を対象とする金融機関です。規模の小さい会社にも対応し、担当者が事業所へ足を運ぶことが多い傾向があります。

関係性を築きやすいのが利点です。小規模な会社にとっては、地方銀行より話が進みやすいことがあります。

地方銀行

地域の中堅企業が主な対象です。信用金庫より融資枠は大きくなりますが、財務内容への要求も上がります。

都市銀行

規模の大きい企業が中心です。年商数億円規模の中小企業では、取引口座はあっても融資は難しいことが多くなります。

制度融資(自治体・信用保証協会・金融機関)

自治体が利子や保証料の一部を補助する仕組みです。3者が関わるため着金まで2〜3か月かかりますが、実質的な負担は軽くなることがあります。

選び方の目安

状況 適した先
創業期・実績が浅い 公庫、制度融資
年商1億円以下 信用金庫、信用組合、公庫
年商3億円以上 地方銀行、信用金庫
保証枠を使い切っている プロパー融資(実績が必要)

信用保証協会の保証には限度枠があり、無担保では8,000万円までです。この枠の残りは、取引のある金融機関に聞けば教えてもらえます。使い切っていると、次の調達は難しくなります。

融資以外も含めた資金調達の方法の全体像は、資金調達とはで整理しています。

決算書のどこを見られているか

金融機関は決算書を独自の基準で読み直します。帳簿上の数字がそのまま評価されるわけではありません。 ここを知っておくと、何を整えるべきかが具体的になります。

実態純資産に置き換えられる

貸借対照表の純資産は、そのまま信用されません。次のような調整が入ります。

回収見込みのない売掛金:長期間動いていない売掛金は、資産から除かれます。

売れない在庫:滞留在庫は評価が下がるか、ゼロとみなされます。

役員貸付金:会社が社長個人に貸している形の資金は、返ってこない前提で見られることが多くなります。この科目があると印象が悪くなります。

含み損のある資産:帳簿価額より時価が低い土地や有価証券は、時価に引き直されます。

これらを差し引いた「実態純資産」がマイナスなら、帳簿上は黒字でも実質債務超過と判断されます。

役員貸付金は早めに解消する

とくに指摘されやすいのがこれです。社長の個人的な支出を会社の資金で払った結果、役員貸付金として計上されているケースがよくあります。

金融機関から見ると、貸したお金が社長個人に流れる懸念につながります。少額ずつでも返済して減らすか、役員報酬を上げて相殺するといった処理を検討してください。

現預金の中身も見られる

現預金が多くても、その大半が短期借入で調達したものであれば評価は変わります。借入金と現預金のバランスも見られています。

勘定科目内訳明細書

決算書に添付する内訳明細も読まれます。売掛金の相手先、借入金の内訳、役員報酬の額。ここに整合性がないと、質問が増えます。

事業計画で示すこと

決算書は過去の記録です。融資の判断は将来の返済能力に対して行われるため、これから何をするのかを示す必要があります。

売上計画は分解する

「来期3,000万円」では通りません。単価・客数・稼働日といった要素に分解し、それぞれに根拠を持たせてください。

飲食店なら「客単価3,000円 × 1日30人 × 月25日」、法人向けサービスなら「契約単価 × 契約社数 × 継続率」というように、業種ごとに分解の仕方が変わります。

経費は漏らさず計上する

計画が甘く見られる原因の多くは、経費の計上漏れです。家賃、人件費、水道光熱費、通信費、広告費、保険料、消耗品費、税理士報酬。

法人であれば役員報酬、個人事業主であれば生活費も織り込んでください。

返済原資を明示する

何から返すのかを示します。「税引後利益+減価償却費」が年間返済額を上回っているかを確認してください。

ここが逆転していれば、返済のたびに手元資金が減る構造です。この状態では、いくら計画を作っても説得力がありません。

悪いシナリオも用意する

計画どおりに進まなかった場合にどうするかを聞かれます。

「絶対に達成します」より、「半年で目標の7割に届かなければ、広告費を月10万円削り、◯◯の取引を縮小して対応します」と答えられるほうが評価されます。

面談で問われること

融資の面談では、次のようなことを聞かれます。答えを準備しておいてください。

  • 資金は何に使うのか
  • なぜその金額なのか
  • 何から返すのか
  • 売上計画の根拠は何か
  • 直近の業績が落ちている理由は
  • 競合と比べた強みは何か
  • 計画どおりに進まなかったらどうするか
  • 他の金融機関からいくら借りているか

答え方のコツは、数字で答えることです。抽象的な意気込みより、具体的な数値と根拠のほうが信頼されます。

そして、経営者本人が答えられることが重要です。税理士やコンサルタントが同席する場合も、事業に関する質問は本人が答えてください。代わりに答えてもらうと、事業への理解度を疑われます。

申し込み前に準備するもの

揃えておくと、審査が早く進みます。

  • 決算書(3期分)
  • 直近の試算表
  • 資金繰り表(6か月先まで)
  • 借入金の返済予定表(全金融機関分)
  • 納税証明書
  • 資金使途の内訳(見積書など)
  • 会社案内・事業内容が分かる資料

このうち資金繰り表は、多くの会社で用意されていません。だからこそ、あると印象が変わります。

金融機関との関係づくり

借りやすさは、申し込み時だけで決まるものではありません。日頃の関係が効いてきます。

決算書は自分から持っていく

決算が終わったら、求められる前に持参してください。

数字がよくない年ほど避けたくなりますが、逆です。悪い内容を自分から説明し、原因と改善策を伝えている会社と、提出を渋る会社では、いざというときの対応が変わります。

業績の変化は早めに伝える

大口の受注が決まった、主要取引先を失った、設備が故障した。事業に大きな変化があったときは、その都度伝えてください。

金融機関がもっとも嫌うのは、突然の悪い知らせです。

複数の金融機関と取引する

1行だけに依存すると、断られた時点で選択肢がなくなります。メインバンクに加えて、もう1〜2行と取引しておくと調達の幅が広がります。

ただし、短期間に複数へ同時申し込みをすると、資金繰りに窮していると見られることがあります。メインバンクに先に相談するのが順序です。

返済実績を積む

借りて滞りなく返す。この実績が次の調達で効きます。信用保証協会の保証付き融資で実績を積むことで、保証を通さないプロパー融資への道が開けます。

なお、繰上返済が常に有利とは限りません。手元資金を減らしてまで返すと、現預金の月商比率が下がり、かえって評価が落ちます。また、返済実績を積むという観点では、期間どおりに返すことにも意味があります。

融資以外の取引も持つ

給与振込、経費の引き落とし、社会保険料の納付。こうした日常の取引を集めておくと、金融機関はその会社の資金の流れを把握できます。

実態が見えている会社のほうが、審査は進みやすくなります。 融資だけを頼む関係より、日常の取引がある関係のほうが有利です。

業種によって見られ方が違う

同じ財務内容でも、業種によって審査の目線は変わります。自社がどう見られるかを知っておくと、準備の力点が定まります。

建設業

工事の入金サイトが長く、立替が発生するため、運転資金の必要性を説明しやすい業種です。

一方で、工事進行基準や未成工事支出金といった特有の会計処理があり、決算書が読みにくくなりがちです。自分で決算内容を説明できるかが問われます。建設業許可の有無も確認されます。

完成工事高の変動が大きい場合、その理由(大型案件の有無など)を説明できるようにしてください。

飲食業

廃業率の高さから、金融機関は慎重に見ます。立地の根拠と経験が重視されます。

家賃が売上の10%以内に収まっているかは一つの目安です。これを大きく超えていると、収益構造に無理があると判断されます。

複数店舗を運営している場合、店舗ごとの収支を出せると評価が変わります。全体で黒字でも、赤字店舗を抱えていれば指摘されます。

小売・EC

在庫が資金を圧迫しやすい業種です。在庫回転率を見られます。

滞留在庫が多いと実態純資産が目減りするため、決算前に整理しておくと評価が変わります。ECの場合は、集客の再現性(広告費に対する売上)を説明できるかが焦点です。

製造業

設備投資の額が大きく、減価償却費も大きくなります。債務償還年数の計算で減価償却費が分母に入るため、設備を持つ業種は数値が改善しやすい面があります。

一方、設備の更新時期が重なると資金需要が集中します。中期の設備計画を示せると、計画性を評価されます。

サービス業・士業

在庫がなく、人件費が中心の構造です。設備投資が小さいぶん、大きな資金需要が生じにくい業種でもあります。

継続的な契約がどれだけあるか(ストック収入の比率)が、返済能力の説明で効きます。

よくある誤解

「メインバンクなら必ず貸してくれる」

長い取引があっても、財務内容が基準を下回れば断られます。関係性は入口を良くしますが、基準そのものは動きません。

「黒字なら通る」

営業赤字を雑収入で埋めて経常黒字にしている、役員報酬を極端に下げて利益を出している。こうした状態は見抜かれます。

逆に、赤字でも通ることはあります。 一時的な要因で、改善の道筋が示せる場合です。

「借入は少ないほうがよい」

無借金であることが常に有利とは限りません。返済実績がない会社は、金融機関から見て未知数です。

適正な借入をして滞りなく返している会社のほうが、いざというときに話が早く進みます。

「複数行に同時に申し込めば早い」

短期間に複数へ申し込むと、審査の過程で他行への申し込みが把握されます。資金繰りに窮していると見られる可能性があります。

「担保があれば通る」

不動産担保があっても、返済原資がなければ貸せません。担保は保全の手段であって、返済能力の代わりにはなりません。

断られたときにどうするか

すぐに別の金融機関へ出し直しても、結果は変わらないことがほとんどです。まず理由を推定してください。

債務償還年数が長すぎる:既存借入が重い状態です。返済を進めるか、条件変更を検討します。

赤字が続いている:改善計画が必要です。数字だけでなく、何をどう変えるかを示します。

資金使途が説明できていない:ここは作り直しで改善できます。

滞納がある:完納が先です。

保証枠を使い切っている:プロパー融資か、別の調達手段を検討します。

信用情報に問題がある:記録が消えるまで待つ必要があります。

このうち、書類の作り直しで改善できるのは資金使途の説明だけです。他は時間と行動が必要です。「支援者を入れれば次は通る」とは限らないことを理解しておいてください。

借りやすさより、借りる必要をなくす

最後に、順番の話をします。

融資は事業の選択肢を広げる手段であって、目的ではありません。借りずに済む金額は、借りないほうがよいのです。

請求書を早く出す、売掛金の回収を早める、在庫を圧縮する、固定費を見直す。これらを実行してから必要額を計算すると、借入額は小さくなります。返済負担が軽くなれば、次の調達もしやすくなります。

そして、資金が尽きてから動くと条件を選べません。多くの中小企業で、月次の数字が出るのは翌月末以降です。これでは2か月前の状態を見ていることになり、手を打つタイミングを逃します。

翌月10日までに数字が出る体制があれば、資金がいつ厳しくなるかを事前に読めます。3か月前に分かっていれば、余裕をもって相談できます。追い込まれてからの申し込みとは、印象がまったく違います。

合同会社種火は、福岡県大川市と熊本市を拠点に、経理代行と資金繰り管理をお引き受けしています。月次の数字を早くお出しし、資金がいつ厳しくなるかを事前にお伝えするところまでを標準にしています。「今の決算内容で借りられるのか」といった段階のご相談も承ります。

資金繰りや財務の数字を毎月一緒に見てほしい場合は、種火の社外CFOサービスで伴走しています。

よくある質問

Q. 赤字でも借りられますか。

可能な場合があります。赤字の理由が一時的なもの(設備投資、新規事業の先行投資など)で、改善の道筋を示せれば評価されます。構造的な赤字が続いている場合は厳しくなります。

Q. 創業したばかりですが借りられますか。

日本政策金融公庫の創業融資、または制度融資が現実的な選択肢です。民間金融機関のプロパー融資は、業歴と実績が必要になるため創業期には向きません。

Q. 決算内容が悪いのですが、改善してから申し込むべきですか。

改善の見込みがあるなら、その計画を示して申し込むほうが早いことがあります。ただし債務超過や大幅な赤字の場合は、事業の立て直しが先です。判断の目安は債務償還年数で、15年を超えているなら申し込みより改善を優先してください。

Q. どれくらい前に動けばよいですか。

公庫で1か月前後、制度融資で2〜3か月、既取引行の保証付き融資で3週間〜1か月が目安です。資金が尽きる3か月前には動き始めてください。

Q. 個人事業主でも借りられますか。

借りられます。公庫も制度融資も個人・法人の両方が対象です。ただし事業用と生活用の口座が分かれていないと事業の実態が読み取れないため、申し込み前に必ず分けてください。

Q. 担保や保証人は必要ですか。

公庫には無担保・無保証の制度があります。民間金融機関では、信用保証協会の保証をつける形が一般的です。経営者保証についても、一定の条件を満たせば不要にできる制度(経営者保証に関するガイドライン)があります。

条件としては、法人と個人の資産・経理が明確に分離されていること、財務基盤が一定水準にあること、金融機関へ適時適切に情報開示していることなどが挙げられます。役員貸付金があると「分離されていない」と判断されやすいので、この観点でも解消しておく価値があります。

Q. 審査にはどれくらいかかりますか。

既に取引のある金融機関で保証付き融資なら3週間〜1か月、新規の取引先なら1〜2か月が目安です。信用保証協会の審査が入るため、金融機関の判断だけでは決まりません。

Q. 融資の面談には誰が出るべきですか。

経営者本人が出てください。 経理担当や税理士が同席するのは構いませんが、事業に関する質問に本人が答えられないと、実態を疑われます。

数字の技術的な質問(減価償却の考え方など)は同席者が補足する、という役割分担にしておくとよいでしょう。

Q. 使う予定のない融資を受けておくべきですか。

「借りられるときに借りておく」という考え方はあります。ただし利息は発生しますし、手元資金が潤沢だと判断が緩みます。

必要額に対して2〜3割の余裕を持たせるのが現実的な水準です。それ以上は、返済負担のほうが重くなります。

Q. 決算期はいつがよいですか。

融資の観点では、繁忙期の直後に決算期を置くと業績のよい決算書になりやすい面があります。ただし納税時期が資金の薄い時期と重なると資金繰りが厳しくなるため、事業のサイクル全体で判断してください。

まとめ

  • 借りやすい銀行を探すより、自社を借りやすい状態にするほうが確実
  • 審査で見られるのは、債務償還年数(10年以内が目安)、自己資本比率、営業利益、現預金の月商比率、代表者の信用情報、納税状況
  • すぐできるのは、滞納の解消、試算表の更新、資金繰り表の作成
  • 1〜3か月では、資金使途の具体化、売掛金の回収、在庫圧縮、固定費削減
  • 根本的な改善は利益を出すこと。過度な節税は融資には不利に働く
  • 金融機関に順位はつかない。創業期は公庫、年商1億円以下は信用金庫が現実的
  • 決算書は自分から持っていく。悪い年ほど自分から説明する
  • 断られたら理由を推定する。書類の作り直しで直るのは資金使途の説明だけ

融資は借りて終わりではなく、返済が始まります。返せる範囲で、必要な額だけ。そのために、まず自社の数字を月次で把握するところから始めてください。

そしてもう一点。今すぐ借りる予定がなくても、債務償還年数と現預金の月商比率だけは計算してみてください。 この2つを知っていれば、自社が今どのくらい借りられる状態にあるかがおおよそ分かります。

いざ必要になってから慌てて計算するのと、日頃から把握しているのとでは、動き出しの速さが違います。その差が、条件を選べるかどうかを分けます。