2026年9月15日、政府は臨時閣議で、飲食料品の消費税を下げることを柱とする税制改正大綱を決定しました。2027年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率が8%から1%になります。

ただし、法律はまだ成立していません。10月に開かれる臨時国会に関連法案が出され、そこで細かな点が決まっていきます。この記事では、2026年9月15日時点で決まったこと・まだ決まっていないことを分けて整理し、中小企業の経理で影響が出るところと、今から準備しておくことをまとめます。

この記事の情報について
政府の基本方針(2026年8月5日 閣議決定)と、9月14日・15日の報道にもとづき、2026年9月15日時点の内容をまとめています。法案の審議で内容が変わることがあるため、動きがあれば更新します。

決まったこと(2026年9月15日時点)

対象いま軽減税率(8%)の対象になっている飲食料品。酒類と外食は対象外で、10%のまま
税率8% → 1%
期間2027年4月1日から2年間
そのほかの税率標準税率の10%は変わらない
今後の手続き10月の臨時国会に関連法案を提出

出典:内閣官房「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」(2026年8月5日 閣議決定)、共同通信(2026年9月15日)、産経新聞(2026年9月14日)

ここまでの流れ

  • 2026年8月5日:政府が基本方針を閣議決定。飲食料品の消費税率を2027年4月1日から2年間1%にすることを決める
  • 2026年9月14日:与党(自民党・日本維新の会)が税制改正大綱の案を了承
  • 2026年9月15日:政府が臨時閣議で税制改正大綱を決定
  • 2026年10月:臨時国会で関連法案を審議(予定)

残りの1%分は「給付」で戻す

政府の基本方針では、消費税1%に相当する範囲で、中低所得の現役勤労者(働いている人)を対象に、所得に応じた給付を2027年度に始めるとしています。減税と給付を組み合わせて、飲食料品の消費税を「実質ゼロ」にするという考え方です。この減税と給付は、2029年度(令和11年度)に本格導入する予定の新しい給付制度(給付付き税額控除の第一歩)までの、2年間に限った「つなぎ」と位置づけられています。

大綱と基本方針に盛り込まれた、事業者向けの内容

事業者に関係する点として、次のような内容が示されています。

  • 小売店の値札の貼り替えなどについての特例措置(大綱の報道より)
  • 農林水産事業者・外食事業者への支援策(大綱の報道より。具体的な中身はこれから)
  • 仕入れにかかった消費税の還付を受けられない農業従事者などへの対応を検討する(基本方針)
  • 外食産業を含め、影響を見極めたうえで、資金繰り支援などの予算措置を検討する(基本方針)
  • 消費税率の変更に柔軟に対応できるシステムの普及を進める(基本方針)

減税に必要な財源は2年間で約10兆円とされ、赤字国債に頼らず、補助金や租税特別措置の見直しなど、歳出・歳入の見直しで確保する方針です。具体的な中身は年末の予算編成で決めるとされています。

まだ決まっていないこと

  • 法律そのもの(国会の審議で、日付や中身が変わる可能性がある)
  • 2027年3月31日をまたぐ取引の扱い(経過措置)
  • 値札の特例や、外食・農林水産事業者への支援の具体的な中身
  • レジやシステムの改修への補助の有無・金額・時期
  • 給付の対象者・金額・申請方法
  • 2年間の減税が終わった後の税率

このため、今の段階でシステムや値札を先に作り込むのは避け、法案の中身が見えてから確定させるのが安全です。一方で、自社にどれくらい影響が出るかの把握は、今から始められます。

中小企業の経理で影響が出るところ

税率が「10%」と「1%」になる

いまの消費税率は10%と8%の2つです。2027年4月からは、飲食料品が1%になり、10%との組み合わせになります。請求書やレシートは、税率ごとに金額と消費税額を分けて書く必要があります(インボイス制度)。会計ソフトやレジ、請求書を作るシステムの税区分に「1%」を追加し、4月1日で切り替える準備が必要です。

外食は「仕入れ1%・売上10%」で納める消費税が増える

飲食店は、食材を仕入れるときの税率が1%になる一方、店内で食べる売上は10%のままです。本則課税の場合、納める消費税は「売上の消費税−仕入れの消費税」なので、仕入れで差し引ける分が小さくなり、納める額が増えます。

計算の例(特定の企業の実績ではありません):ある月の店内飲食の売上が税抜300万円(消費税30万円)、食材の仕入れが税抜100万円の場合、仕入れの消費税は8万円から1万円に減ります。ほかの条件が同じなら、納める消費税は22万円から29万円に増えます。基本方針が外食産業への資金繰り支援に触れているのは、このためです。

食品を売る側は、仕入れの消費税の方が多くなることがある

食品の小売・製造・卸では、売上の税率が1%に下がる一方、包装資材や光熱費、外注費などの経費は10%のままです。本則課税の課税事業者なら、仕入れの消費税が売上の消費税を上回った分は還付されます。ただし、免税事業者(多くの小規模な農家など)は還付を受けられません。基本方針が「還付が受けられない農業従事者等への対応」を検討するとしているのは、この点です。

簡易課税の事業者

簡易課税では、売上の消費税にみなし仕入率を掛けて納める額を出します。飲食料品の売上は税率が下がるため、その分の納める額は小さくなります。本則課税と簡易課税のどちらが有利かが変わる可能性があるので、両方で試算しておく価値があります。簡易課税を選ぶには、原則として適用したい課税期間が始まる前日までに届出が必要です。

値札・メニュー・価格表示

税込価格の表示(総額表示)をしている商品は、税率が変われば表示も変わります。大綱には値札の貼り替えなどの特例が入ったと報じられているため、特例の中身が分かってから表示の切り替え方を決めます。

今から準備しておくこと

  • 売上と仕入れのうち、飲食料品(1%になるもの)の割合を把握する
  • 会計ソフト・レジ・請求書発行システムの提供元に、1%への対応予定と時期を確認する
  • 本則課税と簡易課税で、納める消費税がどう変わるかを試算する(外食・食品販売は特に)
  • 取引先との価格の見直しが必要か、早めに話し合いを始める
  • 2027年3月末をまたぐ取引の扱い(経過措置)が発表されたら、請求・納品の締め日を確認する
  • 資金繰り表に、納める消費税や還付の変化を反映させる

インボイス制度の経過措置(免税事業者からの仕入れの控除割合)も、2026年10月から80%→70%に変わります。あわせてインボイス経過措置の早見表も確認しておくと安心です。

よくある質問

Q. テイクアウトやお弁当は何%になりますか?

A. いまの軽減税率と同じ考え方なら、テイクアウトの飲食料品は軽減税率の対象なので1%、店内で食べる場合は外食として10%です。細かな線引きは法案の中身で確認します。

Q. お酒は下がりますか?

A. 下がりません。酒類はいまも軽減税率の対象外で、10%のままです。

Q. 2027年3月に仕入れて、4月に売った場合は?

A. 取引の時期ごとの扱い(経過措置)は、まだ示されていません。法案が出た段階で確認が必要です。

Q. いつ正式に決まりますか?

A. 10月の臨時国会に関連法案が出され、成立すれば正式に決まります。

まとめ|まず「自社への影響」を数字でつかむ

飲食料品の消費税は、2027年4月1日から2年間、8%から1%に下がる予定です。9月15日に税制改正大綱が決まり、10月の臨時国会で法律の審議が始まります。

システムや値札の確定は法案を待つとしても、売上と仕入れのうち何がどの税率になるか、納める消費税がどう変わるかは、今から試算できます。税率が変わる時期の記帳や請求書の対応を任せたい場合は、種火の経理代行・記帳代行サービスでお手伝いしています。

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