資金調達の相談先は、思っているより多くあります。しかも、その多くは無料です。
有料の専門家に頼む前に、まず公的な窓口で話を聞くだけで、自分のケースで何が必要かの見当がつきます。順番を間違えると、払わなくてよい費用を払うことになります。
この記事では、相談先を無料と有料に分けて整理し、どの段階で誰に相談すべきかをお伝えします。
まず使える無料の相談先
商工会・商工会議所
もっとも身近な窓口です。経営指導員が常駐しており、資金調達の相談に応じてくれます。
制度融資のあっせん、日本政策金融公庫のマル経融資(無担保・無保証で借りられる制度)の推薦、小規模事業者持続化補助金の申請支援も扱っています。
会員でなくても相談できることが多く、まず足を運ぶ価値があります。
よろず支援拠点
各都道府県に設置された、国の相談窓口です。何度でも無料で相談でき、資金調達に限らず経営全般を扱います。
専門分野を持つコーディネーターが在籍しており、案件に応じて適した担当者につないでもらえます。
日本政策金融公庫の支店窓口
融資を受ける先そのものに相談できます。
審査する側の視点が直接聞けるという点で、これに勝る情報源はありません。自分のケースで通る見込みがあるか、何が足りないかを教えてもらえます。申し込み前の事前相談として利用できます。
公庫の創業融資の条件や申し込みの流れは、日本政策金融公庫の創業融資とはで解説しています。
中小企業基盤整備機構
独立行政法人として、経営相談や情報提供を行っています。資金調達の手段を体系的に知りたい段階で有用です。
融資・出資・補助金など、資金調達の方法の全体像は資金調達とはで整理しています。
自治体の産業振興課
地域独自の制度融資や補助金の情報を持っています。制度融資を使うなら、まずここに確認するのが早道です。
取引先の金融機関
すでに口座がある金融機関の担当者に相談するのも有効です。融資に至らなくても、自社の財務状況をどう見られているかが分かります。
有料の専門家に頼むべき場面
無料の窓口で足りる場合も多いのですが、次のような状況では専門家に依頼する価値があります。
- 調達希望額が500万円を超える
- 事業計画書を作った経験がない
- 複数の調達先を組み合わせたい
- 過去に融資を断られたことがある
- 開業日や設備の納期が決まっていて時間がない
無料の窓口は相談には応じてくれますが、書類を代わりに作ってはくれません。 計画書の作成や数値計画の設計まで手を動かしてほしい場合は、有料の専門家が必要になります。
費用相場
| 料金体系 | 相場 |
|---|---|
| 成功報酬型 | 調達額の2〜5% |
| 着手金+成功報酬 | 着手金3〜10万円+2〜5% |
| 顧問契約に包含 | 月額顧問料に含む |
1,000万円を調達して成功報酬3%なら30万円です。
判断の軸は費用と調達額の差です。30万円払って調達額が200万円増えるなら合理的ですし、変わらないなら無料の窓口で十分です。
相談する順番
効率のよい順序があります。
1. 公庫の窓口または商工会(無料)
自分のケースで調達できる見込みと、必要な書類を把握します。ここで「今の自己資金では厳しい」と分かれば、時期を改めるという判断もできます。
2. 自治体の産業振興課(無料)
制度融資や補助金の有無を確認します。公庫と併用できるかもここで分かります。
3. 必要なら専門家(有料)
1と2で全体像がつかめた状態なら、専門家に頼むべき範囲も明確になります。何も分からないまま相談に行くより、費用対効果を判断しやすくなります。
相談前に用意するもの
どの窓口へ行く場合も、次を持参すると話が早く進みます。
- 決算書(法人は3期分、個人事業主は確定申告書3年分)
- 直近の試算表
- 借入金の返済予定表(全金融機関分)
- 通帳(自己資金の出どころが分かるもの)
- 必要額のメモ(設備と運転資金の内訳をざっくりでよい)
創業前であれば、通帳と職歴が分かる資料が中心になります。
何にいくら必要かが決まっていない状態で相談に行くと、話が進みません。金額の根拠が曖昧でも構わないので、書き出してから行ってください。
気をつけたいこと
無料をうたう民間の相談窓口もあります。多くは金融機関や保険会社からの紹介料で成り立っています。
無料であること自体は問題ではありませんが、その事業者の収益源がどこにあるかは知っておくべきです。紹介料が特定の金融機関から出ている場合、あなたにとって最適な調達先ではなく、紹介料の出る先を勧められる可能性があります。
また「必ず通ります」と断言する事業者は避けてください。融資の可否を決めるのは金融機関であり、支援者が保証できるものではありません。
調達した後を見てくれるか
資金調達は、借りて終わりではありません。返済は翌月から、あるいは据置期間の後から始まります。
実際に苦しくなるのは、借りた直後ではなく半年から1年後です。売上の立ち上がりが想定より遅く、運転資金が計画より早く減っていく。
無料の公的窓口は、この局面まで継続して見てくれるわけではありません。調達後の資金繰りまで一緒に見てくれる相手がいるかどうかが、その後を左右します。
合同会社種火は、福岡県大川市と熊本市を拠点に、資金調達の支援から調達後の経理・資金繰り管理までを一貫してお引き受けしています。「いくら調達できそうか」「そもそも今のタイミングでよいか」といった段階のご相談も承ります。無理があると判断した場合は、その理由も含めて率直にお伝えします。
資金繰りや財務の数字を毎月一緒に見てほしい場合は、種火の社外CFOサービスで伴走しています。
よくある質問
Q. 無料の相談だけで融資は受けられますか。
受けられます。調達希望額が300万円以下で、自己資金が十分にあり、同業種の経験があるなら、公庫の窓口で相談しながら自分で進められます。
Q. 何度も相談してよいですか。
よろず支援拠点は回数制限がありません。商工会や公庫も、段階に応じて複数回相談できます。遠慮する必要はありません。
Q. 相談したら申し込まなければいけませんか。
そんなことはありません。相談の結果「今は時期ではない」と判断するのも正しい選択です。
Q. 補助金の相談もできますか。
できます。商工会・商工会議所は小規模事業者持続化補助金の申請支援を扱っています。よろず支援拠点でも各種補助金の情報が得られます。
まとめ
- 資金調達の相談先の多くは無料(商工会、よろず支援拠点、公庫、自治体)
- 公庫の窓口では、審査する側の視点が直接聞ける
- 有料の専門家が必要なのは、500万円超・計画書未経験・時間がない場合
- 費用は成功報酬で調達額の2〜5%
- 順番は、無料の窓口で全体像をつかんでから、必要なら専門家へ
- 相談前に決算書・返済予定表・通帳・必要額のメモを用意する
- 「必ず通る」と断言する事業者は避ける
- 調達後の資金繰りまで見てくれるかを確認する
まず無料の窓口に行ってみてください。それだけで解決することも少なくありません。
