請求書の作成は、金額そのものは小さいのに、締め日前後に集中して時間を取られる仕事です。

しかも遅れると入金が1か月ずれます。資金繰りに直結するため、後回しにできません。にもかかわらず、社長や現場が片手間でやっている会社は少なくありません。

この記事では、請求書作成を外に出すといくらかかるのか、どこまで任せられるのか、そして自社でやる場合やシステム導入と比べてどうかを整理します。

作成した請求書の郵送や電子送付だけを任せる方法は、請求書発行代行とはで解説しています。

料金相場

料金体系は3つに分かれます。

型 相場 向いているケース
件数課金型 1通200〜500円 月の発行枚数が読める
月額固定型 月1万〜5万円 枚数が安定している
経理代行に含む 月2万〜8万円 記帳などとまとめて任せる

月20通なら月4,000〜1万円、月100通なら月2万〜5万円あたりが目安です。

金額が上がる要因

同じ枚数でも、次の条件があると単価は上がります。

  • 請求金額の算出が必要(稼働時間や納品数から計算する)
  • 取引先ごとに様式が違う(指定フォーマットへの転記が発生する)
  • 郵送が必要(封入・切手・投函の手間)
  • 入金消込まで含む(振込名義の照合が発生する)
  • 締め日が複数ある(月末締めと20日締めが混在するなど)

見積が想定より高いときは、この中のどれかが理由になっていることが多いので、内訳を聞いてみてください。

任せられる範囲

請求業務は、実際には複数の工程に分かれています。どこまで頼むかで金額も効果も変わります。

工程 代行可能 補足
請求金額の確定 △ 根拠情報は社内から渡す必要がある
請求書の作成 ○ 定型化できれば完全に任せられる
送付(メール・郵送) ○ 郵送は実費が別途かかる
入金の消込 ○ 通帳データの共有が前提
未入金の督促 △ 取引先との関係に関わるため社内に残す会社も多い
適格請求書の要件確認 ○ 登録番号や税率区分のチェック

もっとも重要なのは1行目です。 請求金額がいくらになるのかは、事業をやっている側にしか分かりません。固定額の顧問料や家賃ならそのまま任せられますが、稼働時間や納品数で変わる場合、その情報を社内から渡す必要があります。

ここの受け渡しが決まっていないと、月末に毎回バタバタします。

自社対応・システム導入との比較

外注が常に最適とは限りません。3つの選択肢を比べます。

自社でやる場合

月20通程度なら、テンプレートを整えれば1〜2時間で終わります。枚数が少ないうちは、外注のほうが手間(情報の受け渡し)が増えることすらあります。

問題は、担当者が1人しかいない場合です。その人が休むと請求が止まり、入金が遅れます。

請求書発行システムを導入する場合

月額数千円から、請求書の作成・送付・消込までを自動化できます。毎月同じ取引先へ同じ金額を請求する事業なら、これがもっとも効率的です。

一方、取引先ごとに様式が違う、金額の算出が複雑、といった場合は設定が煩雑になり、結局手作業が残ります。

代行に出す場合

枚数が多い、様式がばらばら、郵送が必要、といった定型化しにくい要素がある場合に効いてきます。

システムでは吸収しきれない例外処理を人が引き受けるためです。

判断の目安

状況 適した選択
月20通以下・様式が統一 自社+テンプレート
月20通以上・毎月同じ内容 システム導入
様式がばらばら・郵送あり 代行
担当者が1人で属人化している 代行またはシステム
経理全体を任せたい 経理代行に含める

依頼する前に決めておくこと

請求金額の根拠をどう渡すか

もっとも重要な準備です。

固定額なら契約書を渡せば済みます。変動する場合は、稼働時間の集計表なのか、納品リストなのか、何をいつまでに渡すかを決めてください。

締め日から3営業日以内に情報が揃わないと、請求書の発行が遅れます。 発行が1週間遅れれば、入金も1週間遅れます。

送付方法を決める

メールか郵送か、取引先ごとに違うのか。郵送の場合、実費(封筒・切手)は誰が負担するのかも確認してください。

電子帳簿保存法の関係で、メール送付した請求書は電子データのまま保存する必要があります。代行会社側で保存まで対応するかを確認しておくとよいでしょう。

適格請求書の要件を満たすか

インボイス制度に対応した請求書には、登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額などの記載が必要です。インボイス制度そのものの仕組みや取引先への影響は、インボイス制度の仕組みと必要な対応でわかりやすく解説しています。

インボイス制度で請求書に求められる記載事項は、国税庁「インボイス制度について」で確認できます。

代行会社がこの要件を理解しているかは、見積の段階で確認してください。要件を満たさない請求書を出すと、取引先が仕入税額控除を受けられなくなります。

誰が最終確認するか

請求書は取引先に出す書類です。金額を間違えれば信用に関わります。

代行会社が作成し、社内で確認してから送付する、という流れにしておくのが安全です。全部任せて確認もしない、という運用は避けてください。

請求業務のスケジュール設計

代行に出すかどうかにかかわらず、締め日から発行までの日数を決めておくことが資金繰りを左右します。

月末締めの場合の目安

日程 やること
月末 締め
翌月1〜2営業日 社内で請求金額の根拠を確定し、代行へ渡す
翌月3〜4営業日 請求書を作成
翌月5営業日 社内で確認
翌月5〜6営業日 送付(郵送はさらに2〜3日)

翌月10日までに取引先へ届くのが一つの基準です。多くの企業は10日〜15日を支払処理の締めにしているため、それを過ぎると入金が翌月にずれる可能性があります。

1日の遅れが1か月になる

請求書の発行が数日遅れただけで、取引先の支払サイクルに乗り遅れ、入金が1か月後になることがあります。

月商500万円の会社で1か月分の入金がずれれば、それだけで資金繰りは苦しくなります。請求業務は「早ければ早いほどよい」のではなく、取引先の締めに間に合うかどうかが本質です。

主要な取引先の支払処理の締め日を確認して、そこから逆算してください。

よくある失敗

情報の受け渡しが遅れて発行が遅れる

代行に出したのに請求が遅くなった、というケースの原因はほぼこれです。社内側の締めが遅いと、代行会社は動けません。

未入金に気づかない

請求書を出して終わりにしていると、入金されていない取引先に気づくのが遅れます。入金消込までセットで頼むか、社内で月次の確認を仕組みにしてください。

安さだけで選んで様式が崩れる

取引先の指定様式がある場合、それに合わせられるかを確認せずに契約すると、結局作り直しになります。

解約時にデータを取り出せない

代行会社の独自システムで作成している場合、契約終了時に過去の請求データを引き出せないことがあります。契約前に確認してください。

種火の請求業務支援について

合同会社種火は、福岡県大川市と熊本市を拠点に、中小企業の請求業務をお引き受けしています。

請求書の作成・送付だけでなく、入金の消込と未入金の把握まで含めて、資金繰りの見通しとセットでお伝えるところまでを標準にしています。請求は資金繰りの入口なので、そこだけ切り離しても効果が半分になるためです。

「今の枚数なら外に出すべきか」といった段階のご相談も承ります。自社でやったほうが早い規模であれば、率直にそうお伝えします。

請求書や領収書の処理をまとめて任せたい場合は、種火の経理代行・記帳代行サービスで対応しています。

よくある質問

Q. 月に数通しかありませんが依頼できますか。

対応は可能ですが、その枚数なら自社で作るほうが早いことが多くなります。情報の受け渡しにかかる手間のほうが大きくなるためです。経理代行とまとめて依頼する形なら合理的です。

Q. 取引先ごとに様式が違いますが対応できますか。

多くの代行会社で対応可能です。ただし様式の種類が多いほど単価は上がります。見積時に何種類あるかを伝えてください。

Q. 郵送も頼めますか。

可能です。印刷・封入・投函まで含む場合、1通あたり100〜200円程度の実費が別途かかるのが一般的です。

Q. 入金の消込まで任せられますか。

任せられます。ただし通帳データの共有が前提になります。インターネットバンキングの閲覧権限を付与するか、明細を定期的に渡す形になります。振込の実行権限は渡さないでください。

Q. 請求書の控えは誰が保管しますか。

会社側で保管する義務があります。代行会社がクラウド上で管理する場合でも、自社でデータを取得できる状態にしておいてください。

Q. 見積書や納品書もあわせて頼めますか。

対応している会社が多くあります。請求書と同じ情報から作れるため、まとめて依頼するほうが効率的です。ただし見積書は金額の交渉に関わるため、社内で作成する会社も少なくありません。

Q. 途中で自社対応に戻せますか。

戻せます。ただし請求先の一覧、様式、締め日といった情報が代行会社側にしか残っていない状態だと引き継ぎに苦労します。取引先マスタは自社でも持っておいてください。

まとめ

  • 料金は件数課金で1通200〜500円、月額固定で1万〜5万円が目安
  • 請求金額の根拠を社内から渡す工程は代行できない。ここの設計がすべて
  • 月20通以下で様式が統一なら自社対応、毎月同じ内容ならシステム、様式がばらばらなら代行
  • 適格請求書の要件を満たせるかは見積段階で確認する
  • 入金消込までセットにすると、未入金の把握が早くなる
  • 最終確認は社内で行う。全部任せて確認もしない運用は避ける

請求書は資金繰りの入口です。発行が遅れれば入金も遅れます。 誰がやるかより、締め日から何営業日で出せる体制かを先に決めてください。