
「記帳代行を頼みたいけれど、結局いくらかかるのか分からない」——多くの経営者がここでつまずきます。料金は依頼先によって月5,000円から数万円まで幅があり、しかも同じ取引量でも金額が変わることがあります。本記事では、税理士・記帳代行会社・フリーランスの料金相場を一覧で比較し、あなたの会社の費用を左右する「3つの要素」、そして安さだけで選んだときに起きる失敗まで、中小企業の経営者の目線でわかりやすく解説します。読み終えるころには、自社に合った依頼先と概算費用がイメージできるはずです。
記帳代行の料金相場は月5,000円から!依頼先別の費用目安を一覧比較
記帳代行の料金は「月間の仕訳数(取引の件数)」を基準に決まるのが一般的です。まずは依頼先ごとの相場をつかみましょう。
| 月間仕訳数 | 月額料金の目安 |
|---|---|
| 〜100仕訳 | 5,000円〜10,000円 |
| 101〜200仕訳 | 10,000円〜20,000円 |
| 201〜300仕訳 | 20,000円〜30,000円 |
| 301〜400仕訳 | 30,000円〜40,000円 |
| 401仕訳以上 | 40,000円〜 |
1仕訳あたりの単価でみると、おおむね50円〜100円程度が一つの目安です。これに加えて初期費用(1万円〜5万円程度)や、証憑のファイリングなどのオプション料金(5,000円〜3万円程度)がかかる場合があります。
税理士事務所の料金相場
税理士に記帳代行を依頼する場合、多くは顧問契約とセットになります。顧問料の中に記帳代行が含まれる、あるいは月額1万円〜3万円程度の記帳料が加算されるケースが一般的です。価格は他より高めですが、後述する税務の専門性と安心感が価格に含まれていると考えると分かりやすいでしょう。
記帳代行専門会社の料金相場
記帳業務に特化した代行会社(BPO)は、仕訳数に応じた従量課金が中心です。100仕訳まで5,000円〜1万円といった明朗な価格設定が多く、コストを重視する事業者に向いています。会計ソフトの導入支援やレポート作成まで対応する会社もあります。
フリーランスの料金相場
クラウドソーシングなどで個人に依頼する方法です。1仕訳あたり30円〜80円程度と最も安価な傾向ですが、担当者一人に依存するため、品質や納期の安定性、情報管理体制は事前に見極める必要があります。
依頼先の選択基準
「とにかく安く」ならフリーランスや代行会社、「税務まで丸ごと安心して任せたい」なら税理士、というのが大枠の判断軸です。ただし価格だけで決めると後悔しやすいため、次章以降の「料金を左右する要素」と「格安の落とし穴」まで読んでから決めることをおすすめします。
記帳代行の料金を決定づける「3つの主要要素」
相場表を見て「自社は安く済みそう」と思っても、実際の見積もりが上振れすることは珍しくありません。料金は取引の「量」だけでなく、こちらが手を入れる前の状態の悪さで大きく変わるからです。同じ月100件でも、整っている会社とそうでない会社では手間が2〜3倍変わります。料金を決める要素は次の3つです。
仕訳数(取引の量)
最も基本的な要素です。注意したいのは、経営者の感覚と実際の仕訳数がズレやすい点です。
- 現金取引が多い:飲食・小売・美容など現金商売は、少額の支払いも1件ずつ仕訳するため件数が膨らみます。
- ネットショップ・EC運営:Amazonや楽天、決済サービスごとに入金・手数料・返金が別取引になり、「売上は月50万でも仕訳は数百件」も珍しくありません。
- クレジットカードを事業用に多用:明細1行が1仕訳。サブスクが10個あれば毎月10件積み上がります。
料金は売上の「金額」ではなく、通帳とカード明細の「行数」で決まる、と覚えておきましょう。
依頼範囲(何を任せるか)
「記帳だけ」のつもりが、実は範囲が広がっていることがあります。請求書発行や支払いの代行、給与計算、年末調整、決算・確定申告などは記帳とは別の業務で、別料金になるのが通常です。記帳代行は税務申告(税理士の独占業務)を含まないことが多いため、「どこからどこまでを任せるのか」を最初に切り分けておくと、見積もりのズレを防げます。
資料の整理状態
ここが追加料金になりやすい最大のポイントです。
- 領収書が封筒にドサッ:日付順・科目別の仕分けから始まるため整理手数料が発生します。
- 私用と事業用が同じ口座・カード:1件ずつ「これは経費か」の確認が必要で、やり取りが増えます。
- 資料を年1回まとめて渡す:過去分を遡って入力するため割増になりやすい傾向です。
- インボイス・軽減税率(8%・10%)が混在:税区分の判定が1件ずつ発生します。
| ① 仕訳数 | ② 依頼範囲 | ③ 資料の整理状態 |
|---|---|---|
| ☑ 毎月の取引件数が多い ☑ 売上・経費の動きが多い ☑ 現金・カード・口座が複数ある |
☑ 記帳以外の作業も依頼する ☑ 請求書・給与・振込確認も含む ☑ 月次レポートや資料作成も必要 |
☑ 領収書が未整理 ☑ データ形式がバラバラ ☑ 不足資料の確認が多い |
下のチェックリストに1つでも当てはまる場合、見積もりは相場表の「上限」に近づくと考えておきましょう。
- □ 現金での支払いが多い
- □ ネットショップや複数の決済サービスを使っている
- □ 事業用とプライベートの口座・カードが分かれていない
- □ 領収書はとりあえず溜めている
- □ 月次ではなく、まとめて処理してもらっている
ただし、これは裏を返せば「自分でやると大変な作業」そのものです。整理が苦手な会社こそ、代行に任せる価値が大きいともいえます。
税理士に記帳代行を依頼する料金プラン|顧問契約とのセット運用
税理士への依頼は「顧問料+決算報酬」の二階建て
税理士の料金は、毎月の顧問料と、年1回の決算報酬で構成される二階建てが基本です。記帳代行はこの顧問料に含まれる、または記帳料として加算される形になります。月々の処理だけでなく、節税や資金繰りの相談まで含まれるのが特徴です。
なぜ税理士は高いのか:独占業務と安心の価値
税理士が他より高いのは、税務申告という独占業務と、税務調査への対応力を持つためです。記帳の先にある申告まで一気通貫で任せられるため、「処理は合っているか」「申告で困らないか」という不安を持たずに済みます。価格には、この安心が含まれていると理解すると納得しやすいでしょう。
顧問契約の仕組みと「丸投げプラン」
最近は、領収書を渡すだけで記帳から申告まで対応する「丸投げプラン」を用意する事務所も増えています。手間を最小化したい経営者には有力な選択肢ですが、その分価格は上がる傾向があるため、自社がどこまで手を動かせるかとあわせて検討しましょう。
記帳代行会社を利用する料金とメリット|コスト重視の経営者向け
料金体系:仕訳数に応じた従量課金
記帳代行専門会社の料金は、仕訳数に応じた従量課金がわかりやすい特徴です。100仕訳まで定額、超過分は1仕訳あたり数十円といったプランが多く、自社の取引量に応じて費用をコントロールしやすいのが利点です。
代行会社ならではのメリット
税理士よりも記帳のボリュームに強く、価格も抑えやすいのが代行会社の強みです。会計ソフトの導入支援や、月次の試算表・レポート作成まで対応するところもあり、数字を経営判断に活かしたい事業者にも向いています。
データ所有権の確認が重要
見落としがちなのが、入力した会計データの所有権です。契約終了時にデータをスムーズに引き継げるか、利用している会計ソフトのアカウントは自社名義かを、契約前に必ず確認しましょう。
2026年現在、AI活用による効率化
近年はAI-OCRによる証憑の自動読み取りや、AIを使った仕訳の自動提案が進み、処理スピードとコストの両面で効率化が進んでいます。DX支援とあわせて経理の自動化を進めると、代行費用そのものを抑えられる可能性があります。
クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード等)を活用して料金を抑える3つの方法
記帳代行の費用は「仕訳数」と「資料の整理状態」で決まります。つまり、この2つを自社で改善すれば料金は下げられます。鍵になるのがクラウド会計ソフトです。
銀行・カード連携で自動化を徹底する
銀行口座やクレジットカードをクラウド会計に連携すると、明細が自動で取り込まれ、仕訳の手間が大きく減ります。手入力が減るぶん、代行先の作業量=料金も抑えられます。
現金取引をカード・QR決済に集約する
料金を押し上げる現金取引を、できるだけカードやQR決済に寄せると、データが自動で残り、仕訳数の「見えない膨張」を防げます。
認定アドバイザー制度や割引を活用する
freeeやマネーフォワードの認定アドバイザーである代行会社・税理士に依頼すると、ソフトの割引や効率的な運用提案を受けられることがあります。依頼先選びの一つの基準になります。
安さだけで選ぶのは危険?格安な記帳代行に潜む3つの落とし穴
税理士法違反のリスク
記帳代行自体は税理士資格がなくても可能ですが、税務相談や申告書の作成は税理士の独占業務です。極端に安い業者が、資格がないまま税務に踏み込んでいる場合、税理士法違反のリスクや、誤った申告による追徴課税の恐れがあります。
コミュニケーション遅延とサービス品質の低下
格安を実現するために、やり取りがチャットのみ・返信が遅いといった体制のところもあります。月次の数字が遅れると、経営判断のスピードに直結します。質問に気軽に相談できるか、レスポンスの早さも価格と同じくらい重要です。
セキュリティと情報管理の甘さ
通帳や売上データは会社の機密情報です。安さ優先で情報管理体制が甘い相手に渡すと、情報漏えいのリスクがあります。実績や契約書、セキュリティ体制を確認してから依頼しましょう。
記帳代行を成功させるための「前工程」の重要性
月毎に資料をまとめる習慣が全てを左右する
料金を抑え、品質を上げる最大のコツは、月ごとに資料をまとめて渡す習慣です。領収書を月単位の封筒に分け、通帳明細をデータで用意するだけで、代行先の作業はぐっと軽くなり、追加料金も発生しにくくなります。
インボイス制度と電子帳簿保存法への対応
2026年現在、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応は必須です。電子取引のデータ保存要件を満たしているか、適格請求書の区分ができているかは、記帳の前提として整えておきましょう。対応に不安があれば、依頼先に相談するのが安全です。
代行先が作業しやすい環境を整えることが、長期的なコスト削減につながる
代行は「丸投げ」できますが、最初の資料の渡し方を整えるひと手間で、長期的なコストは確実に下がります。前工程を整えることは、自社の数字を正確に保つことにも直結します。
よくある質問
Q. 記帳代行と税理士の違いは何ですか?
A. 記帳代行は「帳簿づけ(仕訳・入力)」までを代行するサービスで、税務申告や税務相談は含みません。申告までまとめて任せたい場合は税理士、記帳の手間だけを安く減らしたい場合は記帳代行会社、というのが基本的な使い分けです。
Q. 個人事業主でも記帳代行は頼めますか?
A. もちろん可能です。取引数が少なければ月5,000円程度から依頼でき、確定申告前の繁忙期だけ依頼する使い方もあります。本業に集中したい個人事業主ほど効果を実感しやすいサービスです。
Q. 料金を安く抑えるにはどうすればいいですか?
A. ①クラウド会計で銀行・カードを連携して自動化する、②現金取引をキャッシュレスに寄せる、③領収書を月ごとに整理して渡す、の3つが効果的です。仕訳数と整理の手間が減るほど、料金は下がります。
Q. 途中で依頼先を変更できますか?
A. 可能です。ただし会計データの所有権と引き継ぎ方法を契約時に確認しておくことが重要です。データが自社名義のクラウド会計にあれば、移行はスムーズです。
まとめ:自社の規模に合わせた最適な記帳代行で本業に集中しよう
記帳代行の料金は月5,000円からが目安ですが、実際の費用は「仕訳数・依頼範囲・資料の整理状態」で変わります。自社の状況に合わせて選ぶことが、コストを抑える近道です。
- 創業間もない場合:取引が少ないうちは、コスト重視で記帳代行会社やクラウド会計の活用が有効です。
- 売上が拡大した場合:税務リスクが増えるため、申告まで任せられる税理士の活用へ切り替えるのが安心です。
- どの段階でも共通:月ごとの資料整理という前工程を整えるだけで、料金も品質も改善します。
記帳は、ただ帳簿をつける作業ではなく、経営判断の土台になる数字を整える仕事です。煩雑な経理から手を離し、本業に集中するための投資として、記帳代行を検討してみてください。
合同会社種火では、記帳代行から月次レポート、社外CFOによる資金繰り支援まで、中小企業のバックオフィスをまるごとサポートしています。「自社だといくらになるのか知りたい」という方は、記帳代行・経理代行サービスや料金のご案内もあわせてご覧いただき、お気軽にご相談ください。
